メニュー 蕭寥亭 検索

開店休業の記

今日の本

コレラの時代の愛

 「コレラの時代の愛」(ガブリエル・ガルシア・マルケス:著 木村榮一:訳 新潮社)、読了。

 前にも取り上げたガルシア・マルケス、1985年の作品。コレラの猖獗する19世紀から20世紀にかけて、南米・カリブ海に面した港町に生きた男女を描いた小説です。

 どこかお伽話のような空気と容赦のない手厳しい描写が同居しています。

 題名にあるように「愛」を軸に展開していくお話なのですが、ここでの「愛」は、何というかカッコ書きにしたくなるような「愛」であり、むしろ「煩悩」というか・・・、ロマンティックな感傷からははるかに遠く、荒涼とした感じさえ受けます。「愛」を語りながら登場人物へ感情移入しにくい小説ってのも珍しいような気がするのですが、いかがでしょうか。

 それと「わが悲しき娼婦たちの思い出」も「族長の秋」もそうでしたが、実は「老い」がこの小説の裏の主題ではないか、とか考えたり。

 さすが、ガルシア・マルケス。おもしろかったです。