『大阪・関西万博「失敗」の本質』(松本創:編著 筑摩書房)、読了。
大阪・関西万博が開幕したそうで。万博は日本で何度か開催されていますが、今回に限らず一度も行ったことがありません。わたしにとっては謎のイベント。
本書は開幕前年の2024年に出版されています。大阪・関西万博の問題を、あえて「開幕前に、多角的な視点から検証・指摘しておくのが本書の目的」だそうです。5人の書き手が1章を担当し、それぞれの視点で問題点を提示しています。
各章、どういった問題を指摘しているかをおおざっぱにいうと、万博を推進してきた大阪維新の会と大阪府・市の体制、立地と建設、運営の混乱、経済効果について、過去の万博から今回の万博に至るまで、の5つです。
わたしが特に気になったのは最後の章。
本書を読む前の2月に、新聞で松井一郎・前大阪知事が万博について語った記事を読んでいました。
万博を提案したのが作家で維新の会の後援者であった堺屋太一だったことを、ここで松井前知事が語っており、本書にもそのことが書かれています。
記事では松井前知事自身、その提案を聞いた時、「懐疑的だった」、「今の時代にマッチしないんじゃないか」と話しています。それはわたしの感じていることとまったく同じですし、そう感じている人は多いだろうと思います。
松井前知事はそこから考えを一転して万博を推進していく立場になったわけですから、それだけの理由があるはず。でも、記事を読んでも本書を読んでも、それは伝わってきませんでした。なぜ、今、万博を開催するのか? その根本的なところで説得力あるメッセージが発信されているとは感じられません。とにかくなんでもいいから大きなイベントをやりたいだけなんじゃ、という疑問は払拭されないままです。
やはり万博は謎のイベントでありました。